※緑時の部分、最初の投稿後に追記しています(7/31 0:30)
火星大接近の観望記録の前に。。。
バックヤード・プロダクツの掲示板にも書き込みがあり、既にご存じの方も多いと思いますが、眼視派の大御所である、安田俊一さんが、7/9にお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り致します。
安田さんは、私がNinja-500を購入する前の事前調査で、上記掲示板とか毎日のように見て、そのなかで凄く詳しく書き込みをされていて非常に参考になり、「現物を見ることなくNinjaを注文できた」というのが最初の接点となります。その後、購入したNinjaを初めて携えて、富士宮口新五合目のオフ会に参加したのが、第17回、2006年9月23日でした。その時のオフ会では安田さんは参加しておらず非常に残念でしたが、その次の第18回オフ会11月25日の伊豆天城高原で初めてお目にかかれました。
その時のオフ会で「南伊豆に連れて行って欲しい」とお願いし、その後毎年のように冬は南伊豆でご一緒させて頂きました。私にとって初めて見る天体や珍しい(誰も見ないような)天体も色々と教えて頂き、新しかったり、面白い機材とかも紹介して頂き、色々と勉強させて頂きました。
ここ最近では、1.5年前の冬に南伊豆に行ったのが一緒に行った最後の南伊豆となってしまいました。毎年冬になれば、なんの変わりもなくご一緒できる・・・・のが普通だったのですが、それも叶わぬものになってしまいました。
私が思うに、DEEP-SKYの眼視では日本でも5指に入るくらい色々と観望され、また詳しい方だったと思います。もうお話も出来ないと思うと非常に残念でなりません。改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。
火星大接近の観望記録です。
私が住んでいる富士市は、海に面したいわゆる盆地で、夏の夕方の晴天率が凄く悪いです。7月に入って直ぐに梅雨が明けましたが毎日曇り・・・しかも雨が降ってきそうな曇りが続きました。しかし、先日の台風のお陰で7/29(日)の夕方は、殆ど快晴状態でした。南面に家が建ったお陰で、庭からの観望は視界が悪いため、久しぶりに2階のベランダにNinja-500を立て観望することとしました。。。。が35kg近い主鏡ユニットの持ち上げは非常に大変でした。
天気状況 7/29夜
ほぼ終始快晴
空の暗さ 2/10 3等星がやっとの空
透明度 8/10
シーイング 7/10 225倍で星がやや肥大
火星が15年ぶりの大接近と言うことで、前回の2016年春にも挑戦したのですが、「火星の衛星を見よう」というテーマで挑戦しました。前回の接近のときは惨敗。今回も挑戦です。
火星の衛星を眼視で・・・という書き込みは中々無いのですが、確かutoさんのブログで「(小さい方の)ダイモスなら見えた」と書き込みがあったとのを思い出して、確かにダイモスの方が暗いけど離れているので見られるかも?と挑戦してみることにしました。
事前のSkySafari Pro Ver6で調査すると22時とか火星から一番離れているではないですか。
ただ
火星:-2.8等 フォボス:11.0等 ダイモス:12.0等
一番火星から離れているときで
フォボス:火星の直径の1倍位 ダイモス:火星の直径の3.5倍位
です。
富士市の明るい空でも土星の衛星
デイオーネ:11.0等 テティウス:10.8等 レア:10.2は余裕で見え、
少しくらいエンケラドス:12.4等も 辛うじて(限界ではない)判ります。
なので、確かに眩い火星の近くですが、一番離れているときにダイモスを狙うと見えそうです。
ということで22時頃から挑戦。火星の周りの見えている星の等級を確認しながら探します。
すると・・・チラチラと暗い光点が見え隠れしているのがあっさり判りました。SkySafari で火星からの位置を確認すると ダイモスの位置にあっています!!
意外にあっさり確認することが出来ました。
「見る」という点での難易度は、海王星の衛星「トリトン」の方が難しい感じです。
※あくまでも「火星大接近」の時での話です。
難敵のフォボスはまだ火星近くだったので、23:30頃まで、見え方について色々試しました。
<合致したアイピース>
最初使ったのが、イーソス10mm(225倍)。結果は、これが一番わかりやすかった。シーイング的にこの倍率が限界だったのも影響していると思います。
辛うじて判ったのが、イーソス13mmとイーソス8mm。13mmの方は倍率低すぎで、視覚的に火星と近いことが影響しているか?8mmはシーイングの問題と思われ、シーイングさえ良ければ倍率が高い方が有利かもしれません。ただ、倍率高いと、ドブである「動かない望遠鏡」では、直ぐ真ん中を通り過ぎる、望遠鏡の揺れ(家の2Fの影響もあり)が直ぐ収まらないなど不利な点もあるので必ずしも高倍率が有利とは言えません。
<視野>
火星が視野中心にいるより、少し右下にいた方がわかりやすかったです。火星のアイピース中などの散乱光の影響か、光条の影響。もしくは光軸が少しだけずれていて、中心より右下の方があっていた。などの影響があると思います。右下~中央だと見えているのに左上だと見えにくいとかありました。
<NDフィルター>
火星がまぶしいので、付けてみました。
ND13だと視野が暗すぎで11等すら怪しい感じ。ND25でも見えません。ND50で辛うじてダイモスが判りましたが、付けない方が良好です。ムーン・グロースフィルター?も使いました。NDよりは遙かに良い感じで、これを付けていても見えましたが、付けないのが一番良です。
1点気が付いたことが。。。。フィルターを付けるとピント位置がずれる。。。。。何で?
23:30頃になってフォボスが火星から離れてきました。2年前に完敗した恨みを晴らします。
ダイモスの位置と、火星からの離角を頼りにずっと探し続けること20分ほど。。。。一瞬星らしきものが・・・・。。。。。見えた。
様な気がして、また望遠鏡を動かし、火星を視野のやや右下に動かし、望遠鏡に触らないようにじっと見守ると、、、、またもチラッと見えるじゃないですが。
判ると思いますが、見えてしまうと再度挑戦しても次第に簡単に判るようになってきて、視野内に「火星」「フォボス」「ダイモス」が同時に判るようになってきました。フォボスを見るチャンスも次回は15年後かもしれないと思うと、そのまま1時間近く見入ってしまいました。
見え方の難易度としては、トリトン:13.7等と同等かフォボスの方が少し難しいくらい、天王星の衛星で3番目に明るいアリエル:14.3等と同じ位かな?と感じます。両衛星とも主星は「暗い」のですが。
またNDフィルターの検証で、口径は30cm位ないとダイモスは厳しいかな?と思いました。また、フォボスの方が約1等明るいのですが、こっちの方が難しかったので、40cm位はないと辛いかもしれません。写真撮影だと、「火星と2個の衛星を撮る」においては、きっとどちらも綺麗に撮影できないと思います。またデジタルアイピースとかも同様でしょう。こういうのが眼視の醍醐味でしょうか?
火星表面の模様の観望は、「ほぼ無視」でした(笑)。模様を良く見るにはシーイングが良くなかったのも理由です。模様を詳細に見る・・・・のは、動画を切り出して「良い画像」だけをコンポジットするのが最良と思います。ただ自分的には、自分で撮影しなくてもネットを見れば、他の方が撮影したものを見ることが出来ます。自宅から見ると、どうしても家自身が熱く、熱対流が起こっていると思います。山中の方が有利と思います。
お陰で寝たのが1:30過ぎ。2Fのベランダなので、望遠鏡はだしっぱで寝ました。
7/30 0:00頃の視野内の様子。SkySafariのスクリーンショットを回転して補正。
望遠鏡の斜鏡スパイダーによる4方向の光条は、右上~左下。右下~左上を走っており、衛星と重なっておらず運が良かった。
朝起きてのベランダの様子。
ここにNinja-500を立てるためにわざわざ3.6×3.6mのベランダにした。
ここに望遠鏡がきたのは、築6年目にして2回目。重たいのがネック。
7/30夜 ブログを書きながら再度挑戦。
雲量 2/10 晴れ
空の暗さ 2/10 3等星がやっとの空
透明度 7/10
シーイング 7/10 225倍で星がやや肥大。昨日と同じ位。
SkySafariでの前確認をせずに「ほんとに見えるか?」を試します。22:30頃。
さっそくイーソス10mmを使って確認します。
良く見ると、少し離れた位置にチラチラと星が見えます。その隣にも暗い星が・・・・
「案外、ダイモス簡単!」と思い、SkySafariで位置を確認。
すると見えていた星はただの恒星だと判明。
23時頃のSkySafariでのシミュレート。画像の下に有る星が見えていただけでした。
SkySafariで確認すると、フォボスが一番離れているのが23時頃。
ただ、今日はダイモスの位置が火星に近く悪い。
23時頃の拡大。
ずっと探すこと10分位。フォボスが判りました。ただ左下に伸びる光条(正確には20時方向)の直ぐ近くです。フォボスの位置からしてダイモスは光条の丁度ライン上と言った感じ。全く判りません。
その後、今ブログの記事最後の方ですが、0:05頃にもフォボスを確認。これから凄い勢いで火星に近づくので今日はおしまいです。また明日晴れていたら挑戦です。
これからお風呂に行ってきます。